November 7, 2014
メイド喫茶では稼げないと勘付いた風俗モドキの店舗の経営者達と法と正義の守護者である公安との白熱した攻防戦が繰り広げられているJKビジネス業界に、また新たな業態が誕生した。 JKを「見学」するだけという斬新なサービスを提供する、「JK見学」と呼ばれている業態である。
「見学」をするだけ。
性行為はもちろんのこと、おさわりすら許されない。 この業態の店で提供されるサービスは少年雑誌に掲載されているグラビアのように、性の核心に触れることはない。 風営法や条例により風俗店を営むことを禁じられている地域において風俗めいたサービスを提供するための苦肉の策として、このような中途半端なサービスを提供しているのであろう。 つい先日、某人達からJK見学視察長に任命された私は「見学」しかできないという性嗜好を複雑骨折したようなストイックさに惹かれ、「見学」に向かうことを決意した。 以下は「JK」を「見学」した時の体験を記したものである。 ここに記述したサービス内容と実際のサービス内容が異なる可能性があることに注意してもらいたい。
まずは今回向かった店を紹介する。
違法性について、店舗の注意事項のページにおいて下記のように説明されている。
所轄の警察署の担当者さんからも「見学するだけの内容ならば 風営法の対象外だが、女の子たちの出待ち・ストーカー対策と 盗撮対策は、厳重にするように」と指導を受けております。
ホームページ内や、受付等では「JK」という言葉を一切使ってはいないが、ホームページのイメージ画像の女性が着ている服がセーラー服であること、店舗内のキャスト達が集う部屋には高校等でよく見かけるKOKUYOの学習机があったことなどから、私はこの店を「JK見学店」として認識している。
私の体験を円滑にお伝えする事ができるようにするためにこの店のシステムを紹介する。 店舗の紹介ページを見れば良いと思う方もいるかもしれないが、どうか我慢して読んでほしい。 ここだけの話、店舗の紹介ページに載っていないシステムも存在するんですよ。 なお、これ以降「JK」の事をキャストと呼ぶこととする。
誰もが気になるであろう「見学」という言葉の定義であるが、残念なことに店舗側でも意味は定義されていない。 キャスト達の演技を見て女子高生の日常を学べということなのだろうか。 しかしながら後述する「指名」制度が存在する事から、見て学ぶという意味ではないことだけは確かである。
来店から「見学」を行うまでの流れは下記のとおりである。
客が滞在することになる一畳に満たない空間のこと。 キャスト達の居る空間とはマジックミラーで、隣の個室とは薄い合版で、通路とは丈の長いカーテンで仕切られている。 客はマジックミラーを通してキャスト達の女子高生としての演技を見る事ができる。 キャストに話しかける等の客が個室からキャスト達の屯う空間へ直接干渉する行為は、後述する指名を除き一切認められていない。
マジックミラーを汚した場合掃除費用として5,000円が請求される他、個室内を汚した場合にも掃除費用として1万円が請求される。 さらに、“再三の確認にも関わらず個室内に盗撮機器を含む何らかの電子機器類を持ち込んだ"場合、"「迷惑慰謝料100万円」をお支払い頂"くという。 各個室とキャスト達のいる空間の配置はパノプティコンのように賢いものではないので、各個室ごとに異なった死角が発生するがご愛嬌といったところか。
客は追加で指名券を購入する事により、キャストのうちの一人を指名することができる。 指名されたキャストは、指名を感謝する旨の発言の後制服姿を客に見せるために一周回る。 その後、下記のような性行為を彷彿とさせる動作を行う。
賢明な方はもうお気づきであろうが、これは実質擬似SEXである。 世界よ、これがクール・ジャパンだ。
この節では店舗で購入できるものを列挙する。 記憶のみを頼りに列挙しているため、抜けがあったり価格に間違いがあったりするかもしれないがご容赦願いたい。
「個室」を使用するために必要な券である。 この券を購入しないとキャストを「見学」することができない。 「個室」を使用する時間によって金額が異なる。 20分1,500円、30分2,000円、60分4,000円。
この券を購入することにより「個室」使用時間を10分延長できる。 価格は1,000円と割高。
好みのキャストを「指名」するために必要な券である。 この券では「指名」をする事しかできない。 キャストにリクエストするためには別途チップ券が必要となる。 指名券に指名するキャストの番号と自らに割り振られた部屋番号以外を記入した場合、その券は無効となる。 指名5分1,500円、指名10分2,000円。
キャストへリクエストを送るために必要な券である。 この券単体ではキャストを指名することができない。 送信したリクエストがどのように解釈されるかはキャストに依存する。 価格は1,000円。
皆大好きポケットティッシュ。 価格は100円。
常に清潔な男子を目指そう。 価格は100円。
ひざ掛け代わりにいかが?価格は200円。
人気キャストのプロマイド。 これであの子をいつでも見放題! 価格は1枚2,000円ほど?
バックヤードに保管されているであろうキャストの下着を購入する事ができる。 風俗店ではないため、「キャストが目の前で脱いでくれる」などのサービスはないだろう。 価格は失念した。
「JK見学店」のシステム紹介を通じて、見学店が風俗モドキである事を認識してもらったところで、体験ルポへと移る。
秋葉原での用事を全て済ませ「すた☆ぷろ」を見つけ出したのは17:50頃だった。 雑居ビルから滲みでる負のオーラに圧倒されつつも、看板に導かれエレベーターで4階へ向かう。
エレベーターを出てすぐのところにある受付で、「見学」とは何かや「見学」の際の注意事項等を聞く。 注意事項の中でも特に口酸っぱく聞かされたのが「盗撮が流行っているので、盗撮を防止するため」に腕時計を含む全ての電子機器の持ち込みを禁止するという項目だ。 “公安の方から注意を受けているので必ず守ってほしい"との話だったが、その割には撮影器具を全て預けたかどうか口頭確認するだけという杜撰さ。 さらに、個室では「携帯を使うときは一度店外へ出るように」といった旨の注意書きを見つける。 電子機器の持ち込みを禁じているのだから携帯を使うことができるわけがないでしょうに。 本当に盗撮を防止する気はあるのか?
キャストの集う部屋と個室を仕切るマジックミラーも、アクリル板にホームセンターで売っているマジックミラーシートを貼り付けただけの杜撰なものである。 貼り付けが適当なのか、隅のほうの透明度が異常に高い。 どこを見ても、胡散臭さに満ちている。 色々と不安だが後戻りはできない。 「見学」を楽しまねば。
個室から見えるキャスト達。 厚化粧ではあるものの、質は悪くないようだ。 残念な事に、どう好意的に見積もってもドラマの高校生役の女性程度の年齢ほどのキャストしかいなかった。 多分、いや確実に、あの中に現役高校生はいないであろう。
キャスト達の屯う空間は、高校の一室というよりはむしろ友人の家に似たものだ。 床に敷かれたカーペット、スマートフォンの充電器が接続された電源タップ、漫画ばかり陳列された本棚。 どれをとっても、高校の一室には無さそうなものばかり。 高校等でよく使われるKOKUYOの勉強机とロッカーを設置する等高校の一室らしさを醸し出そうとした形跡は見られるものの、それらの努力が功を奏している様子はない。
キャスト達の屯する部屋の不自然さに加え、キャスト達の演技にも「ソレじゃない」感はつきまとう。 指名が無い時、キャスト達は他愛のない会話を繰り広げている。 例えば下記のように。
内容のなさや言葉遣い等は確かに女子高生の会話のようだ。 しかし、声は初対面の人達が雰囲気を明るくするために会話を続けているかのようなぎこちなさに満ちている。 更に会話に参加をせずにひたすらiPhoneをつつき、指名を待つキャストまでいる。 キャスト達は金を稼ぐという目的で高校生ゴッコをしているのだから、ぎこちない会話を繰り広げたり話すこともなく指名を待ち続けたりするのは当然のことだ。 しかし、この現状では"日常会話や何気ないしぐさを見学することができます"という謳い文句を掲げるには少しばかり厳しいものがある気がする。 勤務中のキャストが異なる時に向かえば違った印象を得ることができるのかもしれない。
興味深いことに、キャストの一部が指名を受けている間、他のキャスト達の口数が減っていた。 口数が減るということは必然的に部屋を沈黙が占める時間が増える。 しかし不思議な事にこの時生まれる沈黙には気まずさは余り含まれていない。 やはり高校生ごっこではない仕事を行っている同僚が居るときには安堵に包まれるものなのだろうか。
このまま20分間キャストたちのおままごとを見ているのも悪くはないが、せっかく来た見学店である、サービスを堪能しなくては損だ。 その気持ちを胸に指名券とチップ券を購入した。 券売機から吐き出された指名券に「71」と、チップ券に「準備運動」と記入し、個室に備えられた釣り竿で券を投入する。
投入するやいなや、71番さんが私の個室の前へ駆け寄ってきた。 71番さんは、黒髪のおとなしそうな見た目で顔が少しやつれた女性だ。 彼女は軽い自己紹介の後、自らのパンツに右手を挿入、女陰部を指でさすり始めた。 この行為に指名時間の多くを費やされたことから察するに、私の「準備運動」というリクエストは前戯と勘違いされたようだ。 私の「擬似SEXなんてどうでもいいから準備体操をしてほしい」という気持ちはキャストには届かなかったらしい。 彼女はその後、擬似正常位SEX、擬似騎乗位SEX、擬似パイズリを披露してくれた。 彼女のその行為自体には一切興奮しなかったのだが、マジックミラーへの不信感と興奮しないとキャストに申し訳ないという思いから、完全に力を失っている分身を手で弄くる演技をするという不毛な行為をし続けることとなった。
しかし、興奮しなかったが故に気づくことができたことがある。 キャスト達は、少なくとも71番さんは、擬似SEX時に、女陰部や乳頭を一切見せなかった。 これは風営法の影響によるものなのか、店の方針なのか、はたまた71番さんのこだわりなのか。 一度しか指名をしたことのない私には分からない。
指名時間が終了した後、猛烈な賢者タイムに襲われた。 私は何故この店に行くという選択肢を取ってしまったのか、この店に4,000円落とすくらいならクレーンゲームに落とした方がまだ有意義だったのではないか、この店で興奮する人はどのような所に興奮するのだろうか。 様々な疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。 この空間に居ることはもう耐えられない。 タイマーが個室の利用可能残り時間が1分ほどある事を伝えるのを無視し、店を後にした。
71番さんは私に「また指名してくださいね」と言ってくれた。 しかし私が71番さんを指名する日は永遠に来ないだろう。 私が童貞を拗らせない限りは。
この記事では「JK見学店」をかなり貶しているが、これは「JK見学店」が風俗モドキとしての質が低いという事を意味しない。 ただ私に合わなかっただけだ。 「JK見学店」に興味を持った皆さんにはぜひその足で体験しに行ってほしい。 私にとっては箸にも棒にもかからなかったが、あなたにとっては掌中の珠になり得るのかもしれない。